きほんブルックリン

2019年日本への本帰国を目指しながら、大好きなブルックリンのこと日々の生活を徒然。

カマール・ウィリアムス Kamaal Williams@Le Poisson Rouge

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久しぶりにLPRにライブを見に行きました on March 9。
過去何度かLPRには来ているけど一番混んでたんじゃないか、土曜日だからかな。
奥のバーカンまで人があふれている。
客層は20代前半から40代くらいまで、いい感じ、圧倒的に男性の方が多い。

カップルで来ている客はたいてい女が連れて来られた感じで、女は我関せずって感じ。
(『土夜』ですね)

さて、本題のカマール・ウィリアムス公演ですけど『新生代UKジャズ』と謳われる彼ですけど率直な感想、ジャズというより、クラブミュージックルーツのほうがメインに感じました。
(ちなみに小生お恥ずかしながらライブ当日まで大して彼らの楽曲聞いていなかったような人間)

ミニマルで心地の良いプリミティブな音楽が続いて、フロアを揺らしていく。
構成はキーボード(シンセ)、ベース、ドラムの3人編成。
キーボードでのメロディは極端に少なく、非常にシンプルな演奏。
ディープハウスやNu discoなんかを彷彿させること多し。

ドラマーがビート刻みまくってるトラックがあって、そのトラック聞いているとき『さすがUKバンドだな』って思わされたのがリズムが完全にドラムンベースなんですよ。
人力ドラムンベース、しかもイギリス人による本場のドラムンにちょっと感動。
こないだのMETでフランス人キャストによる、フランスオペラ:カルメンを見たときもそうだったけど、本場の人間にその土地(ルーツ)の音楽をやられると説得力に感動してしまう。

ただ、ジャズアーティストって呼ぶのはちょっと違うんでないかーい?
って思ってしまうのは、カマール氏のソロラインがあまりに極端に少なくて、それが楽曲には合っているけど、彼は『ジャズキーボーディスト』ではないと思うから、そうなるとこのバンド自体も『ジャズ』って呼ぶのはなんとなく違う気がする・・・と思ってしまった。
これは完全に私の個人の価値観だけど、ジャズ(ビッグバンドでもビバップでもフリージャズでも)って、インプロヴィゼーションのコードやハーモニーで、プレイヤーがどう遊んでいるかっていうのを楽しんでいるところが少なくとも私にはあって。
カマール氏のプレイの楽しみ方は、そうゆうところでは無い別のところにあると個人的には感じました。

ジャズの要素をたくさん取り入れたクラブミュージック(バンド)

てのが一番しっくりくる。
聴かせてくれる、というより、踊らせてくれるし。

と、思ってたら柳樂光隆氏によるこんなツイートを見つけた。

ものすっごく同意なのである。
クラブジャズってジャンルが最早あるのかと思えば納得だし、その後の氏によるツイートも興味深い。

80年代以降(いわゆるセカンドサマーオブラブ以降)のUKアーティスト達が、多かれ少なかれUKクラブサウンドに影響を与えられているんだな。
改めてUKのクラブ=レイヴカルチャーは本国では大きなものだったのだと感じさせられた。
そしてその音楽を継承して出来たものが、ただのセカンドサマーオブラブリバイバルじゃないってところが良い。

ほんでもってご本人自身もこう発言している。

しかし、Wuは自分の音楽が “ジャズ” と呼ばれることに抵抗を感じている

「俺にとって、ジャズは20世紀初頭に生まれて1960年代後半に終わったものなんだよ。ジャズミュージシャンの中核に位置していた音楽はそれから進化したんだ。ファンク、ソウル、フュージョンにね」
「俺たちはグライムガラージブロークンビートドラムンベースハウスを聴きながら育ったんだ。俺たちの音楽には、ジャズという言葉だけでは片付けられない様々な要素が詰まっているのさ。俺は自分たちの音楽を、 “ロンドンの音楽" と呼んでいる。そうとしか表現しようがない」
引用元:Henry Wu:新世代UKジャズの体現者

ロンドン在住ミュージシャンに、これがロンドンの音楽と言われる信憑性の高さたるや。
あと、ジャズの定義に収まらないのは、ジャズとしての項目を満たしていないからではなく、ジャズ以外の要素が詰まっているからという解釈がポジティブで良いですね。


個人的にはDJ名義のHenry Wuのプレイを今度は見てみたい。カマール名義の演奏が洗練されててスマートな印象ならば、ヘンリー名義のDJはファンクやUKガラージなんかを混ぜつつ、センス良い中で踊らせてくれる感じが好き。
この辺のバランス感覚、”小洒落れてる”けど、ゴリゴリのクラブサウンドってバランスが新しいよね。

 

 


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