きほんブルックリン

2019年日本への本帰国を目指しながら、大好きなブルックリンのこと日々の生活を徒然。

トム・ヨーク(ソロ)Thom Yorke@Kings Theater on Nov 27, 2018

久しぶりに良いライブに行けて我満足状態。
トムヨークのソロ公演@キングスシアター行って参りました。

辺鄙なところにあるが一見の価値あり、キングスシアター

 

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キングスシアターは1929年に建造された歴史あるホールで、70年代に閉鎖されて以来空き物件となっていたところを、2015年に新たにリニユーアルされました

豪華絢爛のオペラハウススタイルの劇場でキャパ3000という大ホールです。
ブルックリンのディトマスパークという、だいぶ奥まったエリアでちょっと危険な香りのするエリアではありますが、建物(内部)を見に行くだけでも一見の価値があるべニューです。過去ビヨークをここで見ましたがそちらも素晴らしいショーでした。
ここでやるトムヨークとか絶対見たい!!!ってことで即チケット取った案件デス。 

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オープニングアクトは繊細な実験音楽

オープニングアクトはイギリスからOliver Coates。チェリストで、チェロを弾きながら事前録音された音源と合わせたり、ループ使ってどんどん重ねていったり、フィードバックでノイズ作ったり(アコースティックな楽器であれどうやってんの?)してました。
ダークでアンビエント的な展開が続いて、すごい綺麗だったんですけど、いかんせんサウンドミキシングが最悪で・・・

特に事前録音されてる音源と、チェロの中音域がバランス悪い状態でぶつかっちゃったりしてて、せっかくのチェロの音が聞こえなかったり、バックで流れてる音と楽器の音のバランスがずーっと悪い。
人が喋ってる声とかもサンプリングされてて世界観醸し出してたんですけど、やっぱり演奏音とのバランスがものすごく悪くて、ずっとボワボワしてるのを聞いている感じで、かつ、他の音を殺しにいっちゃってる。全然溶け込んで一つの音楽になってない。

多分ですけど、録音されてるものにも結構ないろんな音パート(サンプリングなり、楽器音なり)が入ってるけど、各パートごとに当日ミキシングを施すのが不可能なので、実際演奏している音とのバランスが取れていないってことかなあと。

終始もったいないなーっていう感じでした。多分音源で聞く方がずっと良い。
でもチェロの音からフィードバックでノイズ作って3-4分ずーっとノイズを大音量で浴びるのは気持ちよかったし、官能的で良かった。

 

天才音楽家の魅せるダンスフロア

さてさて、お次はトムヨーク御大ですよ。
セットリストはこちら

[セットリスト]
 
    1) Interference
    2) A Brain in a Bottle
    3) Impossible Knots
    4) Black Swan
    5) I Am A Very Rude Person
    6) Pink Section
    7) Nose Grows Some
    8) Cymbal Rush
    9) The Clock
    10) Two Feet Off the Ground
    11) Amok
    12) Not the News
    13) Truth Ray
    14) Traffic
    15) Twist (+ Saturdays outro)

[アンコール 1]
    16) The Axe
    17) Default
    18) Atoms for Peace

[アンコール 2]
    19) Unmade

ステージ上にはトムと、OKコンピューターからのプロデューサーであるナイジェル・ゴッドリッチと、映像を手掛けたタリック・バッリの3人。


トムとナイジェルは、ギター、ベース、ドラムマシーン、シンセ、キーボード(これがキーボードとは思えないくらい、凄いピアノっぽい、良い音の出るキーボードだった。)、ラップトップ、ミキサー、、このへんをずーっと2人で変わりがわり演奏する感じで、トムが踊りに夢中になって急いでミキサーに戻ってエフェクトかけるなんてシーンもしばしばあったり。

とにかくトムさん楽しそう!!もうめちゃくちゃ踊る。『あー彼にとってこれはダンスミュージックだったんだあ』と改めて思わされた次第。
本編後半~アンコールの展開は『トムさん、あんたも好きねぇ・・・』と言わざるを得ない、まさに超!レイバー感満載のバキバキ展開。いやあ最高っすね。ニューヨークはテクノサウンドとかディープハウスとかって基本今は死んでる(というか流行ってない)から、久しぶりに踊らせてくれて最高でした。

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なによりトム自身のパワーに圧倒された2時間でした。踊りながらも、頭フル回転でいろんな機材に飛び回る様は本当天才としか言いようがない。
レディオヘッドを譜面通りにオケ(バンド)と演奏する、いわばクラシック的存在とするならば、今回のソロの演奏は、まさに彼の遊び場・実験場。全力でサウンドを構築していき、構築されたフィールドで全力で遊んでいる。そうゆう印象をうけましたね。 

ちょこちょこ音外してるとこもあったけど、声も基本健在だし、すごいなあー。むしろ高音の伸びは昔より良くなってない?長年のキャリアで声帯が鍛えられているのでは。

 

トムオタクでは無い私でもわかるくらいのヒット曲、Black SwanとかAtoms for Peaceとか、テンポもメロもオリジナルに忠実なのに、なんか違うんだよね。(もちろん良い意味で!)なんていうか、上京した地元の友達に久しぶりに会ったらめちゃくちゃ鮮麗されて別人になってるー!あれ・・・でも話すと同じ人だ・・・みたいな感覚なんですよ。
ディランがlike a rolling stoneをアレンジしすぎちゃって、サビに差し掛かってようやく『これLike a rolling stoneやってたのかよー!!!』って気づくソレともまたちょっと違う。名曲たちが、骨太になり鮮麗されて一周回って帰ってくる感じ・・・良い。

 

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映像も素晴らしかったです。
サイケデリックなものや幾何学的なものだったり、曲ごとに映像が変わっていき、ヴァラエティに富んだものになっていました。映像を見ながら『これはすっごい好きだなー』『これはあんまり好きじゃない』とか考えたり、美術館でアートに触れる感覚。
音楽を邪魔しない、でも、主張のある映像が続いてて良いバランスでした。


洒落客層。だが、果たして彼らに音楽は響いていたのか

 

客層は20代後半~40代のセンスの良い大人たちという印象。個性を少し光らせつつも、鮮麗されたファッションに身を包む大人が多い。
私はNYでのレディへ公演は見たことないんですけど、レディへのコンサートだともっと”輩”が集まっていて、客層が悪いと聞きました。空席もチラホラありましたし、レディへなら見に行くけど、ソロはいいやという人も多いのだなと改めて実感・・・

しかも、作品についていけてないというか、結構棒立ちポカーン勢とか、途中で帰る人たちもチラホラいて・・・

おそらく彼レベルのアーティストになると、ライトなファン層がかなりいるため、彼らには難解すぎたのか、そもそもレディへとは音楽の方向性がだいぶ違うものになっているため(ライブだと特に)レディへしか聞いていない人たちにとっては、ある意味期待ハズレなものだったかもしれません。

現に、私の隣に座っていた50代と思しきご夫婦は、開演前にレディへの好きなアルバムを語るほどのファンでしたが、『ソロはあんまり聞いたことないのよね、でもレディへが大好きだから来たの!』というテンションで来て、思いのほかのクラブサウンドにかなり驚いてポカーンとされていまして、結局途中で帰る。ということになっていました。(こうゆうとこ分かりやすいよねー笑、あんなにファンって言ってたのに途中で帰るんだって言う)


私は二日連続公演の二日目を見に行きましたが、1日目では新作のサウンドトラックのSuspiriaより、Suspiriumが演奏されていたので本当はそっちを見たかったー!
なんなら2日連続で見に行っても良いくらいのショーだったと今になって思います。

というか、大人になった今、レディへよりトムヨークソロの方が今の自分にものすごくしっくり来ることを実感。ティーンの時期からアラサーすぎても、いつも新鮮な気持ちを届けてくれてありがとう、トム。

2019夏フェスあたりを見込んで、いま日本のプロモーターさんたちも動いているんじゃないですか!?映像含んでかなり完成されたショーだったので、アジアツアーも絶対視野にいれているはず。